Noblesse oblige. あなたが日本国の救世主たらん事を切に願います。

先日の吉岡さんのentryを読んで原田泰さんの著作を思い出したので備忘録的に。
自分としては、語られるべき格差は常に貧富の格差であり、世代間格差を中心に据えて語るべきではないと思っているが、現在のようにdeflationが継続的に発生するような需要不足経済では両者は少なからず被っている部分があると考えている。
思い出したのは原田さんの『日本はなぜ貧しい人が多いのか 「意外な事実」の経済学』。良いことが書いてあったので以下に引用(赤字強調は引用者による)。

p134-135

確かに、人口が減少すれば有利な年金は払えない。しかし、これは当たり前のことではないだろうか。私は、むしろ、日本中のすべての高齢者が、払い込んでもいない年金が魔法のポケットから出てくるはずはなく、産んでもいない子供が年金を払ってくれるはずもない、という当たり前の事実を認識してくれると思っている。世代間の対立などあり得ない。すべての親は、次世代の子供の幸せを願っており、それが日本を繁栄させてきた。高すぎる年金は諦めてもらうしかないが、子供は、親にそれなりのプレゼントをすることを嫌がってもいない。年金のカットは、制度の永続性を保障し、人々にむしろ安心を与えるはずだ。


p151

人口減少は恐くないが、高齢化は恐い。ただし、それは、高齢者が、自分達が産み育ててはいない若者の負担で、老後の生活を維持しようとしているからである。現在及び近過去の高齢者は、子どもを産まなかったし、育てなかった。しかも、生まれてきた若者に良い職を与えることもできなかった。だから、数が少なく、貧しくもなった若者に依存して、高齢者が、高い年金を得たり、良い医療を受けたりすることはできない。これは当たり前のことではないか。高齢者が、自分たちが悪いから仕方がないと諦めてくれれば、なんの問題もない。諦めてくれないから問題になるだけだ。
高齢者優遇を改めても、高齢者が生活できなくなる訳ではない。現在の豊かな日本の年金を半分にしても世界一豊かなアメリカと世界一の福祉国家であるスウェーデンに劣らない。すぐさま高齢者へのサービスを削って、若者を負担から解放すべきだ。

引用終わり。
cut幅を減らしたいのならば、需要不足を解消してそれに応じて生産を増大させ続けるしかない。緩やかなinflationが持続的に発生するくらい需要が増大すれば、労働需要も増大し、若者の担税力も高まるだろう。日本の年金はマクロ経済スライドで守られているのでinflationを恐れる必要もない。